赤十字。この組織名を耳にした時、「病院」「献血」「被災地での救護活動」と言ったキーワードを思い描かれる方が多いと思います。私は会社員として働きながら、赤十字のボランティアをしています。
出会いは偶然、職員室近くの掲示板で
赤十字との出会いは、8年程前私がまだ高校生だった頃まで遡ります。
放課後、職員室近くの掲示板に貼られた、あるポスターが目にとまりました。それは日本赤十字社(神奈川県支部)が開催している宿泊研修の参加者募集のポスターでした。
当時の私にとって、赤十字は初対面ながら漠然と惹かれるものがあり、そのまま担当の社会科の先生を訪ねた記憶があります。
私の持っている「できること」で、課題に立ち向かってみる
私は医療スタッフではないため、イメージされる「病院での医療サービス」や「被災地での医療活動」に携わっている訳ではありません。語学や組織に関する知識、ちょっとしたグラフィックスキル等を生かした活動をしています。
思い返すと、所属する組織は一つですが、その中で携わった活動は様々でした。
毎年年末に実施する募金キャンペーンの広報、通訳や翻訳、国際会議への出席、ウェブツールの導入、ボランティア向けの研修の企画・運営…と、その時々の自分の関心や持っているスキルに合わせて活動を行なっていました。
現在は、「若者の赤十字運動への参画促進」という赤十字の世界的なミッションに基づき、日本国内での課題解決に取り組んでいます。特化したチームやプロジェクトの発足や、国内外で策定された戦略や文書の落とし込み、ユースボランティアのネットワークの強化など、職員・ボランティアの仲間と取り組んでいます。
当事者意識を持って、向き合っていくこと
赤十字で活動をする中で、学んだことや見出したことはたくさんあります。
例えば、当事者意識を持って取り組むことの大切さです。世の中や身の回りに問題があっても何となく見過ごしてしまいがちですが、そんな時自分ごととして落とし込むことが始まりだと考えています。そしてそこから生まれる当事者意識こそが、アクションを起こす何よりのエネルギーになると思っています。
少しずつでもいい、その個人が持っている強みや良いところを、誰かのために生かそうとする「工夫」や「思いやり」という行為の広まりや積み重ねで、社会は変わっていくと思います。自分の中に持っているものを、自分の外でどう使っていくのか、自答し行動する人が増えることで、良い変化は生まれるのだと信じています。そうした意味で、社会を変えていくということがとても日常的なことのように思います。
「会社人ではなく、社会人として生きる」
大学を卒業する時に宣言したリストの中にこんな表現があります。
「会社人ではなく、社会人として生きる」
会社での仕事も真摯に向き合う。けれど日常を人生を、仕事だけにしないというのが私のモットーの一つです。自分の持っている時間の中で、どう成長していくか、持っている力をどこでどう生かすか、自分の価値を最大化できているのか、本気になっているのか、私はどんな人間になりたいのか…その問いに目を背けずに居たいと思います。
「偶然の学校」は、私が数年かけて「何となく感づいていたこと」を「気づき」に変え、人生を歩み進めるモチベーションを高めてくれる場所でした。私にとって、パッションを持ち 気づきを体現する現場の一つが赤十字ですが、学校の仲間はそれぞれの現場を持っていて、そこでの葛藤や想いや経験について「教室」の内外でかわすことができることもまたエネルギーになっています。
社会は日々変化し、そこにあるニーズも変わっていきます。赤十字は、人やコミュニティにあるニーズに対して活動を行う組織であるため、社会の変化に応じて組織や私の行う活動も変わっていくのだと思います。そうした流動性のある状況でも、一貫して自分の想いを持って社会や自分の人生と向き合っていきたいと思います。一つ一つ、一歩一歩。