偶然の学校

「生まれ変わったらやりたいこと」

 

「スケボーやりたいなぁ…生まれ変わったら」

ちょっと前まで、僕はそう思っていた。

スケボーブランドは好きだしスケーター向け雑誌も読むし、スケボー自体への憧れはとても強い。でも自分が実際にやるという発想はなかった。理由は主に3つ。

(1)一緒にやる相手もいない

(2)そもそもあまり運動神経が良くない

(3)この歳で今さら始めるのは気恥ずかしい 

そんな僕が、なんと今年に入ってスケボーを始めてみた。きっかけは大学時代の友人のTwitter投稿をたまたま見かけたこと。

《オタクにボードは難しい…》

僕は焦った。「ストリートへの憧れを語り合いながらも、ストリートに踏み出せなかった非体育会系オタク仲間のアイツが…」

“いいね”を押しつつ打ちひしがれていると、すぐにその友人から連絡が来た。

そうして友人に触発された他の数人(友人の会社の同僚やTwitterフォロワー)のグループLINEが出来上がり、翌週には早速みんなでスケボーを購入。そんな勢いでスケボーを買ったは良いものの、本当にスケボーができるのか?正直不安だった。

まずやらない理由の(1)はクリア。(2)も案外何とかなり、徐々に慣れていく過程が楽しい。一番のハードルは(3)だ。初心者には普通の道路や公園で滑ることは難しいし人目に触れて恥ずかしい。そこで環境が整っている専用のスケボーパークに行っても、練習しているのは小学生以下の子供たちばかり。それも遥かに高度な技を練習している…こちらでも肩身が狭く、なかなか恥じらいは拭えなかった。

「これは(3)が障壁になって続けられないかな…」スケボー2回目にして早くも挫折しかけていたところ、僕たちに話しかけ親切にアドバイスをしてくれる方がいた。話してみると、その方はひと回り年上の女性で、なんとスケボー歴は1年だという。その事実が僕にとってはとても響いた。自分の中で無意識に抱いていた偏見や思い込みが、可能性を閉じてしまう物だった事を目の当たりにしてハッとさせられた。

「“今さら恥ずかしい”という理由でやらないなんて、なんて勿体無いんだろう。」

今までも(3)を理由に踏み出せない事が多々あった事も思い出し、余計にそう感じた。というわけで、今回こそは(3)を克服したいと現在進行形で思っているところだ。

勢いと冗談半分で始めたスケボーだったが、何だかんだで自分にとっては大きな経験になっている気がする。来世じゃなきゃできないだろうと勝手に思っていた事(ばかばかしいけれど)を実現できた事が成功体験となり、自信に繋がったからだ。思えば自分も含め、10代〜20代前半の若い時って“何がやりたいのか”すらわからずに、何となく目の前の事で精一杯になってしまう人がほとんどなのではないだろうか。だからそれが過ぎた時に、ポツポツと“やりたかったこと”が出てきてしまう。自分も今26歳で、まさしくそんな時期だ。今までの自分は、それを“生まれ変わったらやりたい”で片付けていた。スケボーはいつまで続けるかわからないけれど、これからは“生まれ変わったらやりたいこと”は、まず実際に“やってみること”から始めたい。

筆者プロフィール

「偶然の学校」3期生田口傑
年間劇場で約150本鑑賞する映画ファン。
海外ドラマ、国内ドラマ、特撮、リアリティー番組なども追いかけてるので大忙しです。

PR代理店で働いています。