偶然の学校

「物語のある体験」

音楽と思い出

みなさんの大切な思い出はなんですか?

その思い出がふと、頭の中に広がるのはどんな時ですか?


僕の場合は、音楽がいつも思い出を呼び覚ましてくれます。みなさんにもそういう経験があるかもしれません。

先月、訪れたモルディブのレストランで流れていた曲が、大学の交換留学時に住んでいたイギリスの記憶を鮮やかに呼び起こしてくれました。

その曲は、留学先のロンドンについてまだ一週間も経っていない頃、ふと入ったH&Mで流れていた曲でした。そこから、1年間の留学生活の中で、宿主のおばさんに怒られたことや、お正月早々から試験勉強のために図書館にこもったこと、バスで寝過ごして夜道を怯えながら歩いたことなど、いろいろな思い出が蘇り、とても嬉しくもちょっと寂しいような素敵な気持ちになりました。

留学先のロンドンにて


僕は音楽が好きですが、これはほぼ産まれたてホヤホヤの頃から始まっていたようです。赤ん坊の頃は、13歳年上の姉が友達から借りたSpice GirlsのCDを聴きながらあやしてくれていたそう。3歳の頃に、両親に上海の歴史あるホテルのおじさんジャズバンドの演奏に連れて行ってもらい、ノリノリで踊ったことも今でも覚えています。5歳からはピアノを習い始め、中学生の頃は1日に7時間もピアノを練習していました。

今では、邦楽・洋楽・K-pop・60年代から最新の曲まで様々なジャンルを聴く、音楽大好き野郎の僕にとっては、何気ない日常の一場面も、良い音楽を聞いていると、特別な瞬間に感じられます。

上海のホテルにておじさんジャズバンド
音楽から気づいた、物語への愛

この間まではこのように「音楽が日常を彩ってくれるのは、音楽が大好きだからだ!」と考えていました。

ですが、つい最近新たな発見がありました。就職活動をする学生が誰もが通る道「自己分析」の中で、自分の好きなものや影響を与えてきたものを整理していた時のことです。

僕が書き並べたことは、ピアノ・音楽・映画・Spotify・Airbnbなど。

これらに見つけた共通点は、「物語性」でした。僕は音楽配信サービス「Spotify」の大ファンですが、このサービスの特徴はプレイリスト機能にあります。世界中のオリジナルのプレイリストをフォローできたり、自分のプレイリストを友人と共有できます。

最近の技術では、アプリが自分の履歴から自動的にオススメを割り出してくれますが、僕にとっては、「プレイリストを探す・共有する」という一手間こそがより音楽を楽しむための隠し味!偶然見つけた曲を友達と共有したということが、記憶となって、よりその曲を好きにさせてくれるのです。例えるならば、昔タワレコやツタヤでCDを探したり、試し聞きしていたような感覚でしょうか。Airbnbを利用することも、ホテルに泊まるよりも地元の人の生活感を感じる空間で過ごすことで、より物語性を増し、経験にスパイスを足してくれている感じが好きです。

物語のある体験を

僕はこの物語性を大事にしていきたいと強く思うようになりました。技術が驚くスピードで進歩して、毎秒単位で何もかもが便利になっていく中で、ただ機械的に便利になっていくだけでは、この物語性が薄れてしまうと思うからです。

偶然の学校を受けようと決意したのも、これが理由です。今はスマホから、タブレットから、ネットさえあれば、何もかも学べるような気がしてきます。もしかしたら、偶然の学校の講義で聞いた幾つかの内容も、ググればヒットしたかもしれません。

でも、全く背景の異なる人たちと、一つの教室の中で、自分には到底想像も出来ないような経験をした講師の方から話を聞くのと、ググってスクリーン上の文字を読むのでは、仮に同じ内容でも、言葉では表しようのないくらいの大きな差があるのです。実際の授業は、自分が想像をするよりも遥かにワクワクや感動で溢れています。

僕の日常の活力となってきた得体の知れないパワーが、この「物語」だと気付いてからは、昔よりももっとエネルギッシュに、色々なことを吸収できるようになった気がしています。

「物語」が好きならば、まずは「物語」に関連しそうなものにチャレンジしてみよう!と思い立ち、マーケティングも広告やコンセプトには物語があると考え、映画配給会社やマーケティングのインターンに参加し、以前はあまり読まなかった本を読むようになりました。

映画のインターンでは、配給会社の人がどのように作品を選んでいるのか学び、自分の担当した作品が世に出る喜びを体験できました。マーケティングでは、人の消費に関わる心理や行動を推察することがとても楽しく、新しい視点を得られました。

自分をよく知れたことで、自分をどうやって行動させるかコツを掴めたのです。あとは、どんどん行動するだけ。僕の人生の目標は、粋なおじいちゃんになって、孫が驚くような楽しいストーリーをたくさん語ってあげることなので、これから更に自分の中に色んな物語をストックしていきたいなと密かに思っています。

筆者プロフィール

「偶然の学校」3期生清水潔之
4月から新社会人。
現在は、バイトで子ども達に英語を教えています。
小さな頃から音楽と語学が大好き。
将来の目標は、エンタメマーケティングで国際的に活躍することと50歳までに大学の先生になること。
Follow :