偶然の学校

「素直さは人を助ける」

素直って何?

僕はよく人に「素直だね。」と言われる。
「偶然の学校」の代表の中井さんからも、「下田の強みは素直なところだ」と、言われたことがある。
僕はそう言われるのが嫌いじゃない。
なぜなら素直だねと言われると、何となく自分の人間性を褒められている感じがするからだ。

しかし、素直という言葉について、まだ自分でも良くわかっていない。
そもそも素直とはなんだろうか?
コトバンクで調べると、このように出てきた。

1 ありのままで、飾り気のないさま。
2 性質・態度などが、穏やかでひねくれていないさま。従順。
3 物の形などが、まっすぐで、ねじ曲がっていないさま。

こう見ると、僕に当てはまっているものもあるが、そうではない意味も多い。

この文章では、「素直」を1番の「ありのままで飾り気のないさま」という(みなさんが最も素直をこの意味で認識しているだろう)意味にフォーカスして話を進めていきたいと思う。

人間は「自分が認識している自分」と「他者から見た自分」が大きく異なる生き物だと思う。コミュニティや人間関係が変わる毎にキャラクターが変わる。
自分らしさが出せないことで、学校や職場でもそのギャップに苦しんだ人は多いのではないだろうか。

僕自身もそのギャップに苦しんだ一人だ。
ここで一旦、僕の「偶然の学校」という切り口から、素直になれていなかった自分について少しお話ししたいと思う。

「偶然の学校」での自分

僕が「偶然の学校」の時に体験した、悔しい出来事をお話ししたい。
それは第一回目の授業の時だった。
あの日は、講師の方の授業を受けた上で、ワークショップの課題として各自が考えたアイデアを発表するものだった。初授業ということもあり、最初は金賞を取るために張り切って取り組んでいた。しかし、ラスト20分になっても全く良いものが思い浮かばなかった。
もしここでダメな成果だったら、周りに頭が悪いと思われてしまうという恥ずかしいプライドが脳裏をよぎり、焦りを感じていたのを覚えている。

そこで自分が取った行為は、笑いに走るという逃げの行為だった。
もし本気でこの課題に取り組んで、賞が取れなかったら、おそらく自らの才能に自信をなくしてしまう。これから劣等感を抱えて授業に参加するだろう。だから、そこで僕はネタに走ったのだ。課題で笑いを取りに行った。最後に力を抜いた。全力でぶつかることから逃げたのだ。

表彰されている皆をみると最初は悔しいという感情はなかったが、帰りの電車の中で悔しさがグッとこみあげてきた。「俺はなんのために今日授業に参加したのだろう??」「笑いを取るため???」

確かに、その日で僕の少し面白いキャラというのは2期の中で定着しただろう。だが、そんなのは全く嬉しくない。それよりも不完全燃焼だった自分への苛立ちが勝った。
自然とこういった勝負事に対して本気になることに逃げている自分が怖くなった。

そこから、自分がとった行為は最悪だった。言い訳をして授業に参加しなくなったのだ。

そのときの僕は全く素直ではなかった。むしろ、ありのままを出すことで、自分に白黒つくのが本当に怖かったし、2期のメンバーに騒がしいだけで才能がないと思われるのが怖かった。

しかし、ある授業の時、大きな変化があった。
同期のみんなが授業を休みがちだった自分に対して、いつもと変わらずに接してくれた。しかし、授業に参加しない自分に対して、過剰に優しくしてくれているというのが明らかに見て取れた。
それが何故か猛烈に情けなかった。最年少というのを言い訳にして、逃げている自分が恥ずかしかった。

そこから、どんな発言をしたかは覚えていないが、全力で授業に取り組んだ。課題発表では思い切り叫んだ。
その結果、久々に参加した授業で金賞を取ることができた。この時の、自分がやった事は一つ。できない自分を受け入れて、今の自分ができる事に思い切り取り組むことだ。このコミュニティで、初めて素直になれたのだ。

そこから、昔ならヘラヘラして逃げていたであろう、授業の課題にも全力で取り組むことができた。
この「偶然の学校」は、本気にならない昔の僕みたいな人間がダサく見える、熱いコミュニティだった。
みんな「ありのままの飾り気のないさまで臨む」素直な人が集まった学校なのだ。

素直さは成長に繋がる

しかし、こうは述べたものの、いつも素直でいるのは難しい。常に同じコミュニティにいるわけではないし、刹那的な感情で流されてしまうこともある。
私もその1人だ。生きる上で、常にありのままでいることは、難易度が高いことだと思う。

簡潔にではあるが、素直な自分を引き出すために私が取った行動を3つ紹介したい。

一つ目は自己分析をすること。
今の自分がどういった過去の経験に影響を受けているのか徹底的に分析した。こうすることで、自分の今の考えや性格がどこから来ているのかが分かる。自分の強みと弱みの源泉を知っているので自信を持って行動ができる。

二つ目は、他人のフィードバックを真摯に受け入れたこと。
実はこれが一番難しかった。僕は今まで他人の指摘に耳を貸そうともしなかった。しかし主観と客観の差を埋めるために、積極的に他人の意見を聞きくようにした。おかげで、自分自身に深みが出た気がする。

最後は、素直な自分に勇気を持つこと。
中には、職場や学校で急にキャラクターが変わったら、他人にどう思われるかと気にしてしまう人も多いだろう。僕は勇気を持って一歩踏み出した。最後はこれが一番大事だ。その素直さを自分の中だけに留めていたら、いつまで経っても他人から見たあなたは変わらない。

勇気を持って素直になって、あなたという人間を思い切り周りに表現して欲しい。

今まで僕は自分に対してすごく嘘をついてきた。
しかし、今では自分に嘘をついてカッコつける瞬間は全く持って意味がないと思う。

中井さんや講師の方には申し訳ないが、前半の授業は、僕にとって得られたものは少ない。講師の方には間違いなく最高の授業をして頂いたし、本当に自分の力不足だった。
しかし、後半の授業はかけがえのないものになった。これは明らかに、向き合う姿勢が変わったからだと思う。

これからも時に、感情に流されてしまい失敗することもあるだろう。
しかし、この学校で得た、素直になることの大切さは間違いなく僕を助けてくれるだろう。

これを読んでくれた皆さんも「ありのまま」になることを意識して生きて欲しいと強く願っています。

筆者プロフィール

「偶然の学校」2期生下田裕介
趣味は映画鑑賞、サッカー観戦、京都観光。
大阪出身。現在大学4年生。
慶應SFC
来春から組織人事系コンサルティングに就職予定。