偶然の学校

「ピュアな価値観」

それぞれの価値観

個人的な話ですが、最近「価値観」についてよく考えています。
みなさん「価値・価値観」と聞いて思い浮かべるのは、何ですか?「価値観が会う人と結婚したい」「自分の存在価値」とかそんなワードでしょうか?

突然ですが、私は東京R不動産を運営する会社で働いています。ご存知ない方もいらっしゃると思うので軽く説明すると、新しい視点で不動産を発見し紹介していくwebサイト。普通の不動産サイトでは「〜駅徒歩〜分、築10年以内、バストイレ別」などの条件で物件を検索しますが、東京R不動産では「レトロな味わい、水辺・緑が見える、バルコニーが大きい」といった少し違う視点で物件を紹介しています。
不動産市場では味わいのある物件や建築家が設計した物件より、築浅や駅近物件に値打ちがつきます。そう、ロマンや居心地のようなものには値段がつきにくいです。
そのような市場の品定めを間近で見ていて感じるのは、価値観の差は面白いということ。ピカピカの新築マンション、風呂ジャグジー最高!という人もいれば、多少古くても大きなバルコニーの家がいい!という人もいる。どちらも正解・不正解ではないですよね。

価値観は武器ではない

そんな中、私が少し寂しいなと思うのは、素敵な物件でも一般的な市場では価値が低いので、投資用ワンルームマンションに建て替えませんか?みたいな話になって、街の風景がどんどん消えていくこと。価値観が画一化されてしまったら、街は面白くないじゃないですか?

他にも最近SNSを見て思うのは、お金がある経済的に成功している人が「私たちの生活や考え方が正義であり、それ以外は間違い」のような、価値観を武器にしたような発言が目立っているということ。それが徐々に肥大化し、大きな価値観や新たな正義になってしまうことをとても危惧しています。

そんな生きにくい世の中にならないように、私には何ができるのか。それは、自分の判断軸となる価値観を磨くということ。世の中の価値観が急激に変わる中で、借り物の価値観を持っていても太刀打ちできません。いろんな価値観の出所を見極めるリテラシーが必要だと思ったのです。最終的に信頼できるのは自分であって、何か判断するのも自分であるという当事者意識を持ってみる。
ということで、自分のピュアな価値観に出会うべく日常で行なっていることについて、ちょっと書きたいと思います。

おいしい・かわいい・きれい。それって本当?

本を読んだり、講演を聞いたり、旅に出たり、いろんな価値観に触れる方法があります。やはり、ちゃんと体験も持って身につける価値観は強い。
「食べログ」を見て、実際食べてみると「げ、これが美味しいって評価されるの」ということありませんか?
「うわ、まず」という感覚のある体験の後に、「私にとって美味しいってこれかも」と考えることや「高評価の店は本当に美味しいの?」と疑問に思うことがここでは大切です。できればそれを誰かと話してみて、いろんな価値観に触れてみる。(決して否定しないことです)そして、その価値観の歪みを認識し、面白がり、楽しんでみてください。

なぜの修行

ではもう一つ、日常に潜んでいる価値観を炙り出す方法です。
私は、何年か前から毎日自分に質問を投げかけることを日課にしています。(文章にすると結構怪しい人ですね)
やり方は簡単で、普段の生活の中の何気ない自分の選択に「なぜ」を見つけ、自分なりに答えを考えてみるだけ。ちなみに、正解・不正解がないのでググっても答えは出てきません。そして、誰も知りません。突き詰めてみると、思いがけない価値観に出会うことができたりする。個人的には、1日10個くらいのなぜを目標にしていて、答えに対して、「なぜ」を繰り返すほどピュアな価値観に出会いやすくなります。

(例)カフェでコーヒーを飲むときのなぜ
「なんでこの店にしたのだろう」
「この店の方があの店より居心地いい。自分にとって居心地いいってなんだろう」
「マスターの選曲とお客さんも静か。革張りのソファもいいし、豆をひくときの匂いも好きかも」
「そう思うと、チェーン店のコーヒーに400円も払うのって、自分には価値あるかな〜」

のように、いろんな方向に飛び散ることもありますが、世の中を知るためにも勉強になります。というのも、これは元々、世の中の構造を知らない自分に嫌気がさして始めたもので(笑)結果的に、それが派生して自分の根元的な価値観を理解することにもつながっています。

価値観を認めて、ハッピーになろう

自分の価値観が研ぎ澄まされて行くと、少し楽になるなと思うことがあります。私はひとりで考えることが好きなのですが、たまに猛烈に「もう無理。無になりたい。脳を切り離したい」なんて思うこともあります。

そんな時に、価値観は自分の味方をしてくれるのです。つまり、価値を感じる場所を知るということは、どこに身を置けば自分が気持ちよくなれるか分かるということでもあります。誰にも邪魔されない休憩場所でもあるんですね。そして、もしかしたら価値の方向に生きがいを見つけられるかもしれません。
価値観を振りかざして人をアンハッピーにしないためにも、価値観の歪みを認めて、面白がって、自分の軸で判断できるようになりたいです。そんなことを思いながら、毎日頭の中でぶつぶつと独り言を繰り返している私。みんながそれぞれのピュアな価値観を共有できて、思いやりのあるハッピーな世界になるといいなぁと本気で思っています。

筆者プロフィール

「偶然の学校」1期生西村 愛子
餃子と寝ることがすきです。
30歳までに海外移住したい。どこの国かはまだ未定。
早稲田建築学科→東京R不動産
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